羽子板は職人の手作りです。作業は分業制になっており、それぞれの工程で職人がいます。
工程は大きく分けて6つあります。
下図 >> 型取り >> 綿入れ >> 面相 >> 組み上げ >> 打ち込み >> 完成
それぞれの工程をご紹介します。

羽子板を製作するには、まず下図(したず)を描きます。
羽子板は歌舞伎の名場面を模したものが多く、歌舞伎の振る舞いの最も美しい場面またはクライマックスを下図にします。

下図は、羽子板の設計図に相当するものです。
部品となる「型」の区切り線を書き込んだり、材料や色などを細かく書き込みます。

下図から型を作ります。特別なカッターやハサミを使い、下図通りにボール紙をていねいに切り、正確な型を一枚一枚手作りします。

下図に切り抜いた型を置き、不足がないかを確認します。

布の上に型を置き、型に沿って布を切ります。綿を入れたりのり付けをするため、少し大きめに切る必要があります。どの色の布を選ぶかは、最終的には職人が色彩やバランスを考えて決めます。羽子板の出来は色の使い方に大きく左右されますから、職人の腕の見せ所でもあります。シビアながら、職人にとっては楽しいひとときでもあります。

裁断した布と型の間に綿を入れ、コテをあててのり付けします。胸、袖、えりなど部品に応じて、綿の入れ加減を微妙に調整しなければいけませんが、これが簡単なようで難しいのです。綿入れは、人から教えてもらえるものではなく、自分で体得するしかありません。修練あるのみです。綿を入れることで部品に厚みを加え、押絵独特の立体的な美しさをかもし出すのです。


顔(面相)描きは羽子板作りで最も重要で難しい作業です。
一人前の面相師になるには最低5年はかかります。顔の肌色は、室町時代から日本画で用いられている胡粉(ごふん)という塗料を膠(にかわ)という自然の接着剤を混ぜて作るのですが、経験に裏打ちされた職人の「勘」によって、その日の天気や温度、湿度などによって微妙に配合を変え、美しい色を作り出しています。

面相専用の布に肌の色を塗った後、口、鼻、目を描き込み、羽子板に命を吹き込みます。書き手の気持ちによって微妙に表情が変わるのは、手描きの証であり面白味でもあります。
頭の部分にも綿を入れ、人の頭のような立体感を出します。女性の場合は、襟足の長さによって若く見えたり老けて見えたりするため、微妙な調節が必要になります。


できあがった何十個もの部品を順々に重ねていき、パズルのように体を組み上げて押絵を作ります。

顔を下向き・上向きに調整して仕上げます。


できあがった押絵を、羽子板形の桐板に、釘で打ち込みます。釘は押絵のボリューム感を強調するように、そして釘が目立たないように、慎重に位置を決めて確実に打ち込む様はまさに職人芸です。
最後に、装飾品や道具で美しく飾って完成です。